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評論・エッセイ

五年まえの湾岸道路

『湾岸道路』(角川文庫)という小説をぼくが書いたのは、もう何年もまえです。ぼくとしては、長い小説です。ぼくは見ていないのですが、たしか映画になったはずです。
 この小説の基本的なアイディアは、童話のジンジャブレッド・ボーイなのです。おばあさんが、ある日、小さな男のこのかたちをしたジンジャブレッドを焼きます。おばあさんがオーヴンを開くと、ジンジャブレッド・ボーイはそこから飛び出し、家の外へ走り出ていきます。そのまま彼は畑や野原を走り、川まで来て、狐の背に乗ってその川を渡ろうとします。しかし、川の途中で、彼は狐に食べられてしま…

底本:『きみを愛するトースト』角川文庫 一九八九年

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