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評論・エッセイ

恋愛は三人ですると面白い

 ぼくはこれまでにずいぶんたくさんの小説を書いてきたけれど、タイトルのなかに恋という字を使った小説は、一編もない。考えてみれば、これはかなり不思議なことだ。愛という字をタイトルに使った小説は、ぼくの記憶が正しいならば、三つある。わずかに、三つだ。
 ひとつは、『最愛のダークブルー』という。これは、きわめてユニークな性格を持ったひとりの少年が、美しい姉に対する独特なかたちの愛を表明するストーリーだ。『愛してるなんて、とても言えない』というタイトルの小説は、ティーンエージャーの男女ふたりを主人公にした、このまま漫画や劇画になり…

底本:『きみを愛するトースト』角川文庫 一九八九年

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