買い物のしかたについて
ぼくは店で買い物をするのが、あまり好きではない。店へいってなにか買わなくてはいけなくなると、面倒だなあ、という気持ちがまず最初にくる。店頭で現物を見るのはうっとうしい場合が多いし、一軒の店ですべて用が足りることはまずない。なにかを買ったとしても、家へ帰るまでそれを持って歩かなくてはいけない。
というふうに、店があまり好きではないぼくにとって、カタログによるメイル・オーダーは、たいへんいい。シーズンごとにカタログが郵送されてくる、というシステムが、まず楽しい。なにかを買わなければならないという義務感なしに、新しいカタログ…
底本:『きみを愛するトースト』角川文庫 一九八九年
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