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評論・エッセイ

歌謡曲が聴こえる 一九六三年のステュードベイカーと煙草

『有楽町で逢いましょう』『恋人よ我に帰れ』

「たばこは動くアクセサリー」、というキャッチフレーズがかつてこの日本にあった。煙草の売上高を上げるために工夫されたもののひとつだ。批判はほとんど受けることなく、このキャッチフレーズは広く浸透し、支持された。煙草じたいが動いたのか、というような誤解があるといけないので、どんな意味だったのか手短に書いておこう。
 一九五〇年代から七〇年代のなかばあたりまで、日本の大人たちは盛大に煙草を喫った。ただ単に喫うだけではなく、日常のなかのいたるところにある小さな節目…

底本:『歌謡曲が聴こえる』新潮新書 二〇一四年

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