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評論・エッセイ

歌謡曲が聴こえる レコード店で買ったばかりの七インチ盤

『霧笛が俺を呼んでいる』『なみだ恋』

 一九六二年、大学の四年生だった僕は、夏休みの終わったすぐあと、九月の初めに、『全音歌謡曲全集』の、僕にとっての最初の一冊を高田馬場の書店で買った。すでに何巻かが刊行されていて、僕は最新刊を買った。手に入れたその全集を僕はいつも持ち歩き、譜面と歌詞を読み、気になった歌があるとその七インチ盤のレコードを、レコード店で買った。
 その全集の新刊が書店の棚にならぶごとに、僕はそれを買った。半年から一年遅れほどで、僕は当時の日本の歌謡曲を、全集の譜面と七インチ盤のレコ…

底本:『歌謡曲が聴こえる』新潮新書 二〇一四年

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