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評論・エッセイ

片岡義男の私と小田急 駅名に思う幻の日本

 小田急線の駅名のなかに、「ヶ」という片仮名が六つある。そのうちの四つは花と関係している。その花とは、新宿の方から順に、梅、百合、そして桜だ。百合はふたつ並んでいる。
「ノ」という片仮名がひとつ。これは片瀬江ノ島だ。「ランド」と「センター」が、ひとつずつ。これは微笑を誘う。いまの日本でランドとセンターを避けたら、どこへもいけない。片仮名はもっと多いかと思ったが、意外に少ない。片仮名語がなければ成立しないのがいまの日本でもあるけれど、駅名というものは、片仮名を取り入れることに関して意識的に慎重であろうとしている、と僕は推測す…

『おだきゅう』二〇〇二年三月号

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