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評論・エッセイ

片岡義男の私と小田急 1月1日の大焚き火

 15歳のときの元日から始まって25歳の元日までの10年間、1月1日の午後、僕は一度も欠かすことなく、小田急線の電車に乗った。各駅停車で行きは下り、そして帰りは上り。駅の数にして4つないし5つ。15歳当時のいたずら仲間たちが、10年にわたって、元日の午後に焚き火大会をおこなったからだ。
 発端は15歳のときの1月1日だった。父親が造園業を営んでいた友人の家に、正月だからという理由で、7人の仲間が集まった。にぎやかに騒いで遊んでいるうちに、庭で焚き火をしようということになった。なにしろ造園業だから、いろんな樹を植えた庭は大変…

『おだきゅう』二〇〇一年十二月号

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