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評論・エッセイ

慎重に見きわめる人の国

二〇〇三年十一月二十二日(*日付については、「まえがき」参照)

 日本がイラクに自衛隊を派遣することをめぐって、イラクのどこなら安全なのか、非戦闘地帯とはどこなのか、といった議論がなされていた頃、「派遣することをひるむな」と首相が言ったと、確か雑誌で僕は読んだ。ひるむ、ひるまないの問題ではないと思うが、首相の言う「ひるむな」とは、いったいどういう意味なのか。かつて日本人が体験した、「なにするものぞ」と似たようなものなのか。
「年内に派遣出来るなら年内にやったほうがいい」と、総選挙前に首相は言った。…

底本:『影の外に出る──日本、アメリカ、戦後の分岐点』NHK出版 二〇〇四年

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