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評論・エッセイ

平和とはゆるやかなドル安と円高

二〇〇三年十一月十五日(*日付については、「まえがき」参照)

 経常収支が巨額の黒字だなんて結構なことじゃないか、とはいかないところが面白い。貿易で黒字を出し続ける国は、その黒字に対して責任を持たなくてはいけない。自国の内部に自前で喚起した、長期にわたって持続する、基盤強固な内需のなかに、黒字を自分の手で減らしていく、という責任がある。
 一九七一年に為替は変動相場制となった。アメリカが自分の都合で勝手にこうしたと理解されていて、その延長としていまだにこの出来事はニクソン・ショックと呼ばれている。…

底本:『影の外に出る──日本、アメリカ、戦後の分岐点』NHK出版 二〇〇四年

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