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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

時代だとか世代だとか

「彼は俺と同期なのよ。俺と同期が社内に五人いて、月に一度は集まって飲むんだけどさあ。おたがいに都合のつかないときもあるけれど、それでもふた月に一度は飲んでるね。なにしろ同期で歳がおなじだから、どんな話をしても話はぱっと通じて、盛り上がってさあ。うちは縦にも横にも、飲み会が多いのよ。こないだ出たのなんか、俺の左右にすわったのがふたりとも俺より五つ下で、正面にすわったのも五つ下だったから、これには参った。話がまったく通じない。嚙み合わなくて。あれには疲れた。五つも違うと駄目だね、もう。なに考えてるんだか、わかんなくて」
 平成…

底本:『坊やはこうして作家になる』水魚書房 二〇〇〇年

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