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評論・エッセイ

小田急線と僕のロマンス

 小田急線の電車に関する僕の最初の記憶は、二両連結であったということだ。すべてが二両だったのではなく、暇な時間に短い区間を走る電車、たとえば経堂発新宿行きというようなのが、二両だったのではないか。いつ頃のことですか、と訊かれても僕には答えようがない。当時の僕は、この程度のことならなんとか記憶しているという程度の、子供だった。
 NHKに続いて民放でも、TVの本放映が開始された頃だったことが、日本史年表を見るとわかる。青山に紀之国屋というスーパー・マーケットが出来た頃でもあるそうだ。なんとなくわかる気もするけれど、いまひとつ…

底本:『坊やはこうして作家になる』水魚書房 二〇〇〇年

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