VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

文法は勉強しない英語

 ペラペラとしか聞こえない、したがってさっぱりわからない英語の、音声という皮膜のすぐ内側に包まれているのは、言葉の正しいつらなりによって出来ているいくつもの文章と、それらが作り出す内容だ。英語で文章を組み立てるには、たくさんある文法のルールにしたがって、そのルールの枠のなかで言葉を使っていく。そのようにして出来た正しい文章が音声になったものは、文法のルールが言葉を介して音声化されたものだ、と解釈することが出来る。
 文章が正しく組み立てられている状態とは、いくつもの言葉が正しい語順でならんでいる状態だ。文法のルールを正しく…

底本:『日本語で生きるとは』筑摩書房 一九九九年

このエントリーをはてなブックマークに追加