砂糖キビはハワイに大量に野生していた。
この砂糖キビをつかって砂糖をつくろうというこころみが、十九世紀のはじめから、何度もおこなわれてきた。
精糖の技術はまだごく初歩的な段階だったけれども、ハワイの砂糖は、アメリカの西海岸で商品として売ることができたのだった。
年に十二パーセントの利子でハワイ政府からおカネをかりて、砂糖産業への投資がおこなわれていった。
ハワイでなにかを生産し、それをアメリカで売って利益をあげるなら、砂糖をおいてほかにない、という事実はすでにはっきりと見えてい…
『ミステリマガジン』一九七六年六月号