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評論・エッセイ

僕はバラッドに徹しよう 4 葡萄が歩み去った方向

ある日の午後おそく、電車で帰ってきた僕は、改札口を抜けて駅の外へ出た。電話をかける用事があったのだが、電話ボックスはふさがっていた。待ちながら僕は、道の向かい側にならんでいる商店を、見るともなく見ていた。いつものとおりの八百屋の店先に、女性のうしろ姿が見えた。

『一個人』二〇〇一年九月号

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