グラッパをかなりかけます
片岡義男の短編ではしばしば使われる、短編小説の中に、もう一つの短編小説がある入れ子構造の作品。主人公は諏訪優子という作家です。彼女がひとつの短編を思いつき、それを書き上げるまでが描かれた後、その小説が丸ごと収録されます。その主人公は椿野優美子というコミックの原作ライターで、彼女もまた、物語を作るのです。四つの視点から描かれる三人の女性像の違いの中にフィクションを書く面白さが立ち上がります。
初出・底本:『短編を七つ、書いた順』(7として所収)幻戯書房 二〇一四年
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