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評論・エッセイ

アーバン・カウボーイとすれ違った男 強情と水泳

彼女は、水泳ができない。泳げるようになろうと思って何度も修得をこころみたのだが、そのたびにごくあっさりと挫折し、いまだに泳げないままだと、彼女は言う。「でも、まったく泳げないわけではないのよ。25メートルは、なんとか泳げるの」。笑いながらそう言った彼女の、オレンジ色の唇を、ぼくは見ていた。

『GORO』一九八二年二月十一日号

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