親友とふたりで入った巨大なパチンコ店の、パチンコ玉の自動販売機でぼくは玉を買った。紙幣をさしこむところに我が愛しの五〇〇〇円札を乗せると、その札はぼくの手もとから突然にかき消えたという感じで、機械の内部に吸いこまれてしまっていた。フェアウエル、マイ・ラヴリー、と別れを惜しむ余裕はまったくなかった。

『GORO』一九八二年一月二十八日号