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評論・エッセイ

あすへの話題 あの胡瓜をいまも想う

ずっと以前からオランダ市民である日本女性が、「私がこれまでに食べた胡瓜のなかで最高のものは、イスタンブールの裏道で地元の少年たちにもらった胡瓜です」と言った。少年たちは胡瓜を引き売りしていた。水で胡瓜を一本洗った少年は、両手の掌に塩をつけ、それで胡瓜を軽くしごき、食べてごらん、と差し出したのだった。

『日本経済新聞』二〇一三年四月十三日(夕刊)

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