VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

光景のなかの個人的な文脈

そのときその場所での自分自身を撮影した写真よりも、はるかに強くそのときその場所での自分を感じる写真、というものがある。鎌倉の大仏、フェリーの切符、軽井沢のホテル、2体のマネキン。これらの光景のこちら側に、あのときのあの場所での僕がいる。写真を見るたびに、僕はあのときの僕にたやすく戻ることが出来る。

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 一九九五年

このエントリーをはてなブックマークに追加