僕は英語のクロスワード・パズルが大好きだ。クロスワードのために僕が費やした時間を、子供の頃から現在まで積算すると、千単位になっていることはまずまちがいない。クロスワードに使う時間というものは、自分がなにかのために使う時間としては、きわめて純度の高い時間だ。この純度の高さは、気分のいいものだ。

底本：『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社　一九九五年