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評論・エッセイ

霧のドライヴイン劇場と三日月

今年の夏、僕は久しぶりにドライヴイン劇場に入った。場所はとある高原地帯の片隅だった。1940年代に製作されたモノクロ映画は、深い夜のなかにうまく溶け込み、幻のようだった。スクリーンの彼方では、三日月が斜めにゆっくりと昇っていき、映画の一部分のように思えた。さらにこの日、良いものは、もうひとつあった。

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 一九九五年

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