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評論・エッセイ

花を見ながら僕は思った

初夏の美しい日の午後遅く、メルボルンの町を僕はひとりで自動車を走らせていた。赤信号で停止中、花売りの少年が出てきて、花はいかがですか、と先頭から順に運転席の人にすすめた。花束をふたつ買うと、その少年が持っている花の色がすべてそろうように思ったので、僕は花束をふたつ買った。両腕に抱えるほどの量だった。

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 一九九五年

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