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評論・エッセイ

薄い皮だけがかろうじて英語

日本人が英語を喋るのを聞いていると、いたたまれなくなるほどのきまりの悪さを覚える。そのなかで最大のものは、センテンスのなかばあたりで主語を忘れてしまっている気配がある、という恐るべき事実だ。自分がなにを主題としたのか、すでに彼らは自覚を失っている。同じことは動詞にも言える。これはもはや英語ではない。

底本:『日本語の外へ』角川文庫 二〇〇三年
『日本語の外へ』筑摩書房 一九九七年

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