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評論・エッセイ

一人称の「私」が語る、アメリカの父親という謎の物語

エリック・ラーセンの小説『アン・アメリカン・メモリー』は、作中の「私」が父親、そして祖父について語る小説だが、「私」にとって父親は謎のままだ。なにを考えているのか、なにをしたいのか、どんな世界を思い描いているのか、ひとつとしてわからない。「私」の頼りないはかなさは、ファミリーの過去につらなっている。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『本を読む人』太田出版 一九九五年
『水平線のファイル・ボックス 読書編』光文社 一九九一年所収