少年たちはたしかに映画を観た
映画を観にいくのは、特別なことだった。幼い少年がひとりで映画館に入ってはいけない、と大人たちに言われていたし、世の中の誰もが、少年が映画を観るのは特別なことなのだと信じていた。映画というものに対して、はじめから、かまえが出来ていた。そして、現実に映画館のなかで映画を観て——
底本:『町からはじめて、旅へ』晶文社 二〇一五年改版(一九七六年初版)
初出:『ハリウッドとの出会いなおしについて語ろう』チャールズ・ハンブレット著 片岡義男訳(あとがきに収載)新書館 一九七五年
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