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書評

球場の書店に寄る 最終回 金銭とその支配をめぐる領域

野球の原理は極めて単純で、ルールは明快で誰にでもわかるという観客の側の野球に対して、高度な次元で野球のゲームを遂行するのはたいそう難しいという、プロのプレーヤーたちの野球が存在する。フィールドで展開されるゲームの美しさに対して、巨額の金銭とその世界の支配力をめぐる策謀という闇が深く存在する。ジョン・へリヤー『その王国の首長たち』(1995)は、アメリカン・ベースボールの金銭とその支配をめぐる領域を主題にしており、アメリカの野球の内部を発見しては驚くという楽しみを、この一冊の本が可能にしてくれる。

底本:『ミステリマガジン』二〇〇四年十二月号

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