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書評

球場の書店に寄る 3 ナショナル・パスタイム

野球について書く人は日本にも多い。しかしトーマス・ボスウェルの『人生は如何にワールド・シリーズに似ていくか』(1982)を読まないままに一生を過ごす書き手は多いだろう。彼の文章は鋭く正しい洞察に満ち、ユーモアを交えた文章は読み始めたらやめられない。すぐれた書き手が良き題材を相手に、本領を発揮した文章を読む幸せを痛感する。「アメリカでは野球は国民的娯楽」ともよく言われるが、その深層について的確に語れる人も少ない。ボスウェルのこの本は、その核心についても的確に語っている。

底本:『ミステリマガジン』二〇〇四年三月号