VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

書評

球場の書店に寄る 5 野球の真理をめぐるトリヴィア

トリヴィアは「無駄知識とか豆知識」と訳されるが、『それが野球というもの』(1990)の著者、リューク・ソールズベリーによれば、野球の真理をめぐるトリヴィアとは「過去、現在、そして想像力」だという。過去とはすでにプレーされたすべての試合、膨大な記録と記憶のことであり、最終的には数字あるいは言葉に帰結するようだ。他のスポーツと比べると野球の記憶には想像力による再生が伴い、それが他のスポーツとは明確に一線を画するところだと著者は説く。複雑さという豊かさ。それが野球の真理なのではないか。

底本:『ミステリマガジン』二〇〇四年五月号

このエントリーをはてなブックマークに追加