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書評

球場の書店に寄る 2 この上なく純粋な背景

MLBについて英語で書かれた数多くの本で、ダニエル・オクレントの『9回まで』(1985)は、群を抜いた傑作だ。1982年6月に行われたブリューワーズとオリオールズの試合を、その始まりから回を追ってディテールのエピソードも含め描いている。シーズン中のゲームは、どのひとつであっても、等しく所定の長さの時間の中で次々に展開しては連続していく出来事として、完璧に純粋なものだ。積み重なる無数のディテールの真実が作り出すワン・ゲームの純粋さのなかに、読者は完全に解放されていく。

底本:『ミステリマガジン』二〇〇四年二月号

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