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評論・エッセイ

一千万年の時間の底から

エスカランテ河はエスカランテの町からコロラド河に合流するあたりまで、砂岩の台地の底を流れていく。岩に黒くきざみこまれた峡谷だ。この峡谷の内部にバックパッカーとしてはいりこんでいくと、圧倒される。垂直にそびえている岩の壁を見あげると、人間の都合なんて、あっさり投げ出さなくてはいけない気持ちになる。

底本:『コーヒーもう一杯』角川文庫 一九八〇年

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