スリープ・タイト
最後の1行で完結します。
『金曜日の幸せなグラッパ』で少しだけ語られる、作家の北荻夏彦と編集者の高木エリカの京都行きが、この短編小説の主題になっています。京都でのエリカの友人の結婚披露宴に同行することを引き受けたのは、それが短編小説になると思ったからだという北荻は、小説の始まりを披露宴後にエリカと向かう喫茶店から始めると言います。そして『ひょっとして怖い話?』が何故、あのような展開になったのかも北荻の口から語られます。それらを受けて紡がれる、京都での北荻とエリカの物語は、そのまま短編小説の作り方となって、最後の1行で完結します。
底本:『群像』二〇一六年六月
(「短篇小説をめぐる3つの短篇」として、『金曜日の幸せなグラッパ』『ひょっとして怖い話?』とともに収載)
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