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小説

ひょっとして怖い話?

空白を描く物語は、そこで急展開を迎えます

 ひとりの若い女性が死んでいます。ライターの瀬川英彦は、近々打合せの予定があった同業者で友人の西野友美子が亡くなったという連絡を受けます。葬儀に赴いた瀬川は、彼女の東京のアパートの後始末を任され、彼女と親しかった友人二人と一緒に、友美子が住んでいた中央線のアパートで、親しかったはずだけれど、何も知らない彼女の生活空間へと足を踏み入れ、残された品々を見ながら、三人で今後の相談をします。ひとりの女性がいなくなってしまった空白を描く物語は、そこで急展開を迎えますが、さて、この小説は怖い話なのでしょうか。

底本:『群像』二〇一六年六月
(「短篇小説をめぐる3つの短篇」として、『金曜日の幸せなグラッパ』『スリープ・タイト』とともに収載)

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