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評論・エッセイ

きみも旅なのかい、ぼくも旅なんだ

その男と逢ったあの町は、なんという町だったろう。町のまんなかのすこし手前で、道路はふたつに分かれた。その分かれ目のところが三角形の緑地帯のようになっていて、誰かの像が、大理石の台のうえに立っていた。その台にもたれて、男がひとり、すわっていた。

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』太田出版 一九九六年

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