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小説

海の写真を撮る

仕事を出す側と受ける側の幸せな関係は、こんな風に出来ているのだ。

 大学で写真の勉強をして、今は写真事務所に所属しつつフリーで撮影の仕事を受けている高崎真樹子に、海を撮って欲しいという依頼が来ます。依頼者は大学の同期で今は雑誌編集者の友人。中年作家が書いたエッセイに添える写真だが、彼女は真樹子に説明的な写真ではなく、高崎真樹子の撮る海の写真が欲しいのだと言います。真樹子は、それを引き受けて、二人はロケ地の相談を始めます。仕事を出す側と受ける側の幸せな関係は、こんな風に出来ているのだという片岡義男の声が聞こえてきそうな、雑誌の現場のリアルをスケッチした掌編です。

底本:『NALU』63号 二〇〇八年三月

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