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小説

潮風をきわめたい

二人の言葉が、潮風のように、ねっとりと絡みついていきます。

初夏の風を感じさせる掌編です。雑誌編集者である友人の百合江と私鉄の駅の側の喫茶店で待ち合わせた、元編集者、現在ミステリ作家の美樹子の会話は、その語り口調自体が、まるで小説の描写のようです。そこで語られるのは、初夏の海辺の潮風を、美樹子がどんな風に楽しんだのかという物語。そして、その潮風をそのまま、百合江は美樹子の身体を通して感じることができます。喫茶店でボンベイ・サファイアを飲みながら交わされる二人の言葉が、潮風のように、ねっとりと絡みついていきます。

底本:『NALU』64号 二〇〇八年五月

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