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小説

黄色い水玉の八月

彼女はノート代わりの束見本を開きます。

 私大の芸術学部で写真を勉強し、いろんな雑誌の編集部でアルバイトをしてきた桑野リカコは、秋には二十八歳になります。彼女の現在の仕事は、フリーランスの書き手で写真家でイラストレーター。とても多忙な日々を過ごしている彼女は、文章を書くことに重点を置いて、仕事を整理しようと考えています。その彼女の当面の仕事は、最近、友人の編集者から依頼された連載「海に向かって歩く」。海についてのエッセイと海があるイラストという以外は自由に書いて良いという連載の1回目をどうするか、彼女はノート代わりの束見本を開きます。

底本:『NALU』65号 二〇〇八年七月

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