VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

小説

夕陽で育った人

彼女が撮る夕陽の写真が見たくなる小説です。

 この物語の主人公である「彼女」は、文字通り、夕陽で育った人です。この小説は、写真家であり、大学の卒業制作では「夕陽で育った私」という写真集を作った彼女が、いったいどんな風に夕陽で育ったのかが書かれています。山陰の東西に向けて引き延ばされたような町の、西のはずれにある家で、西側の窓に小さな木製のベランダがある部屋で育った彼女が、どれだけ夕陽に向かって歩いていたか、その彼女が個展でどのような作品を展示しようとしているのか、全ては、彼女が「夕陽で育った」ことに集約されます。彼女が撮る夕陽の写真が見たくなる小説です。

底本:『NALU』58号 二〇〇七年五月

このエントリーをはてなブックマークに追加