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小説

あまりにも可哀相

二十年の時間を必要としたタイトルの意味が鮮烈です。

 八月の終わりの暑い午後に掛かってきた一本の電話を受けた、四十七歳のポルノ小説家、栗山晴彦は「私のことは忘れたかしら」と、聞き覚えのある女性の声に記憶を辿ります。名前を聞いて、ようやく思い出した彼女は、かつて彼が通っていた神保町のバーでバイトをしていて仲良くなった昭島由美子でした。その日のうちに東京駅の丸善のカフェで会った二人の会話によって徐々に浮かび上がる二人の関係性と、なぜ二十年も会わなかったのかの理由が、そのまま物語になった短編小説です。二十年の時間を必要としたタイトルの意味が鮮烈です。

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