接近しつつある台風が連れてきた激しい雨と風を受け止める林の様子を見ている三十四歳の作家、日比野健一は、友人のカメラマン水谷純二と二人、ハーレーに乗って取材旅行に来ています。台風を避けて逃げ込んだ先は、日比野の高校の同級生にして、現在、ミステリーを書く作家、北沢里々葉の別荘。里々葉は、日比野のハーレーの師匠でもあり、彼をカメラマンから作家に転身させたきっかけにもなった女性です。別荘で足止めをくらった日比野と水谷は、日比野が書かなければならない、題名だけは決まっている短編小説のプロットを考えます。