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小説

スルメと空豆ご飯

【短編小説の航路】もしもほんとうにこんな経験ができるなら、五十歳になるのも悪くない。

写真家の木村邦彦は五十歳になったばかりだ。喫茶店で月刊誌の編集者からインタヴューを受けている。「五十歳を過ぎた男たちが語る、人生のあのとき。いま、そしてこれから」という連載のためだ。木村の話は前半と後半とのふたつあり、彼の話すことがそのまま小説となっている。
前半のテーマは「スルメ」で木村が三十歳のときにフォークランドで経験したこと。後半は「空豆ご飯」がテーマで、四十歳になった木村は広東省の胡同で驚くべき出会いを経験する。フォークランドと広東をつなげたのは、中国人のマドロス、写真とそこに写っている木村の帽子だった。

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