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小説

吉祥寺ではコーヒーを飲まない

なんとも不思議な多幸感に溢れた小説。とにかく、登場する三人の女性たちが楽しそうなのです。

最近、頻繁に俳優の弟から電話がかかってくるのが少し気になった姉は、引っ越そうと考えている吉祥寺で弟と会います。「吉祥寺ではコーヒーは飲まない」という弟とハーモニカ横丁を巡り、チェーンのカフェで話します。そこで何故、弟は自分に電話してくるのか、その理由を察したドラムス奏者の姉は、ちょっとしたアイディアを思いつき、弟と別れた後で、かつて弟と付き合っていたトランペット奏者の女性と落ち合います。その流れで彼女の次に弟と付き合った女性とも合流するという、これは片岡義男流の女子会小説なのです。その楽しそうなこと!

底本:『ミッキーは谷中で六時三十分』講談社 2014年5月
初出:「群像」2013年9月号

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