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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

ひき続きダン・J・マーロウを読む

 今回はまず写真について説明しておこう。横にならんでいる三冊のペーパーバックのうち左端にあるのは、僕にとっての最初のダン・マーロウとなった、『死を賭けて』の一九六二年に刊行された初版だ。かつて僕はこれを持っていたし、読みもした。早川書房の編集者に紹介し、それがきっかけとなって翻訳もされた。紹介したときその編集者にこの初版を僕は進呈したのだろう。

 なかなか雰囲気のあるいい表紙だ。ハードボイルドと言うよりもノワールだが、どことは言いがたくあらゆる部分が、アメリカ的だ。アメリカン・ノワール、とでも言っておこう…