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評論・エッセイ

スヌーピーと旅したアメリカ6000マイル

 ふつう、ぼくは、人形と名のつくいっさいのものに対して、興味を持たない。嫌いなのではなく、人形はじっと見ているともの悲しいし、あるときは薄気味わるくもあるからだ。
 身のまわりにながく置いてあった人形には、ぼくたちの生命なり感情なりの一部分がのりうつり、口がきけず体も動かせないだけによりいっそう悲しい状態でじっとしているのではないのか、というよけいな心配がおこってきて、その心配は処置にこまる。
 そんなわけだから、ぼくの身辺には人形はいないのだが、スヌーピーだけは、べつなのだ。4、5歳の男のコの身長とおなじ…

底本:『パッシング・スルー──片岡義男 クラシックス』ビームス 2014年
初出:ピーナッツ・ブックス39巻『うでずもう選手スヌーピー』(巻末エッセイ) ツル・コミック 1974年

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