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書評

映画には「消えた東京」が残っている

〈書評〉宮崎祐治著『東京映画地図』

 ひとりの読者として見当をつけるなら、1500本くらいだろうか。これだけの数の日本映画のなかに、東京でロケーション撮影された場面を見つけ出し、短い文章とイラストレーションによって描いた本だ。
『どっこい生きてる』という映画の冒頭に早朝の千住大橋が出てくる。仕事を求めて人々が集まってくる場面の美しい背景だ。『人間狩り』のクライマックスでは京成本線の町屋駅のプラットフォームが舞台だ。『土砂降り』という作品では、蒸気機関車や貨車など、当時の南千住駅とその周辺が、…

底本:『週刊朝日』2016年11月4日号

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