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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

この世の終わりを見続ける

 コーマック・マッカーシーの小説を三冊、続けて読んだ。写真のなかでいちばん左にあるのが、処女作だという『果樹園を守る人』という作品で、一九六五年に刊行された。それから四十年後、二〇〇五年の『老いた男たちの国でなく』が、まんなかにある。そして一番右のは、二〇〇六年の『ザ・ロード』だ。ロードとは道だが、それはけっして単なる道ではなく、この道をこそ歩む、というような意味を託された道だろう、と僕は思う。

 処女作を読み、そのあとごく最近の作品を二作続けて読むという、かなり変則的な読みかたをしたおかげで、彼が小説で…

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