VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

書評

「フラッグス オブ アワファーザーズ」

 日本軍の守備隊が守る硫黄島を奪取するため、グリーン・ビーチと自ら名づけた海岸にアメリカの海兵隊が上陸したのは、一九四五年一月十九日のことだった。そして三月十二日、二万二千名もの日本兵のほとんどを戦死させて、アメリカ軍はこの小さな島を完全に制圧した。アメリカ側の死傷兵は二万五千八百五十一名に達した。このうち七千名近くが戦死兵だった。
 一九四五年の一月には、人類史上に特筆されるべき日本の大敗戦は、もはや決定的だった。ほどなくかならずや日本本土へと侵攻して来るアメリカ軍を迎え撃つ場所として、硫黄島は象徴的にも現実的にも、き…

このエントリーをはてなブックマークに追加