SFを絵に描く技法の進化形
一九六十年代のなかばにさしかかり、なかばを超え、六十年代の後半へと入っていった時代の、アメリカのサイエンス・フィクションのペーパーバックの表紙を、しばらく観察してみたい。大衆のあいだに大量に売りさばく本の典型であるペーパーバックの表紙に、サイエンス・フィクションの内容を絵で描くことが、たいへんに難しくなり始めた時代の貴重な表紙ばかりだ。
紙芝居的なリアリズムに支えられた、従来どおりの空想科学小説としての表紙絵は、急速に少数派へとすぼまっていった。昔の子供が夢に見たようなロケットが月面に降り立ち、宇宙服に身を固めた地球…
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