「抵抗勢力」と「バブルの崩壊」
言葉だけはいたるところで盛んに飛び交い、したがって多くの人たちが使うから自分も使い、使っているうちになんとなくわかったつもりになりながらも、その言葉が具体的になにを指し示し、どのようなことを意味しているのか、正確な実態や核心はなにひとつ知らないままである、という例を拾い集めるとたくさんあり、その多さに驚く。
「抵抗勢力」はそのような言葉の、典型的なひとつではないか。自分が推進すると約束した構造改革と関連して、小泉首相が使った言葉だ。いっときは流行語のようにもなったが、改革はどうやらおこなわれそうにない、という認識が人々…
底本:『自分と自分以外──戦後60年と今』NHKブックス 2004年
前の作品へ
次の作品へ