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エッセイ

残りご飯のバター炒めと海苔の佃煮

 一枚の写真が、なんらかのかたちあるいは意味で、物語のなかで重要な役を果たす短編小説をいくつか書き、一冊の本を作ってみたい、といま僕は考えている。物語はみな多様なものになるだろう。どのような物語をどんなふうに構成し、それをどう書くかに関しては、無限に近いほどの選択肢があるように思う。一枚の写真、というものそれじたいが、じつはきわめて濃厚に、奥深く、いくつもの物語なのだ。
 そのような短編のアイディアをまずひとつ作ってみようと思い、なんとなく考えていたらぜんたいがまとまってきた。一九八八年に五十一歳だったひとりの女性作家が…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

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