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評論

世界はただひとつ

 太平洋でのアメリカとの戦争をめぐって、もう戦争は終わりにしようと言う一派と、徹底的に戦って最後には日本本土でアメリカと決戦するのだと言い張る一派とが、国民はなにも知らないところで、権力争いを続けた。戦争は終わりにしようと言っていた一派が、その権力闘争に勝った。日本に原爆が二発も投下されたのは、このような権力闘争のさなかだった。
 対日ポツダム宣言を日本は受諾し、降伏した。日本人一般としては、もうこの戦争に勝ち目はないとは思っていたものの、降伏そのものは、自分たちはなにも知らないところで、いきなり決定された降伏だった。だ…

底本:『日本語で生きるとは』筑摩書房 1999年

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